日本で起こる主な海溝型地震をのまとめ

2011年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」を受けて,今回は今後日本で起こる可能性のある海溝型地震について地域ごとに分けて書き記しておこうと思う。

ちなみにこれは,文部科学省研究開発局地震・防災研究課,地震調査研究推進本部事務局が公表しているデータに基づいている。


以下,カッコ内は2011年1月1日から30年以内(つまり,2040年)までに発生する確率を示す。

【海溝型地震】(津波発生の可能性が高い)

<北海道地域>

択捉島地震・M8.1前後(60%程度)
色丹島地震・M7.8前後(50%程度)
根室地震・M7.9程度(40〜50%)
●十勝沖地震・M8.1前後(0.3〜2%)
●十勝・根室地震・M7.1前後(80%程度)
色丹島択捉島地震・M7.1(90%程度)
●沈み込んだプレート内のやや浅い地震・M8.2前後(30%程度)
●沈み込んだプレート内のやや深い地震・M7.5程度(70%程度)
以上,千島海溝沿い(太平洋側)の地震

●北海道北西沖地震・M7.8程度(0.006〜0.1%)
●北海道西方沖地震・M7.5前後(ほぼ0%)
北海道南西沖地震・M7.8前後(ほぼ0%)
青森県西方沖地震・M7.7前後(ほぼ0%)
以上,日本海東縁部の地震

<東北地方>

三陸沖から房総沖の海溝寄りの地震津波地震】M8.2前後(20%程度)
三陸沖から房総沖の海溝寄りの地震【正断層型】M8.2前後(4〜7%)
三陸沖北部地震・M8.0前後(0.5〜10%)
三陸沖北部地震【プレート間地震】M7.1〜7.6(90%程度)
宮城県沖地震・M7.5前後(99%)
三陸沖南部海溝寄り地震・M7.7前後(80〜90%)
福島県地震・M7.4前後(7%程度以下)
以上,太平洋側の地震

青森県西方沖地震・7.7前後(ほぼ0%)
秋田県地震・M7.5程度(3%程度以下)
山形県地震・M7.7前後(ほぼ0%)
新潟県北部沖地震・M7.5前後(ほぼ0%)
佐渡島北方沖地震・M7.8程度(3〜6%)
以上,日本海側の地震

<関東地方>

茨城県地震・M6.7〜7.2(90%程度以上)
●大正型関東地震・M7.9程度(ほぼ0〜2%)
●元禄型関東地震・M8.1程度(ほぼ0%)
●その他の南関東地震・M6.7〜7.2程度(70%程度)

<中部・東海・北陸地方

新潟県北部沖地震・M7.5前後(ほぼ0%)
佐渡島北方沖地震・M7.8程度(3〜6%)
以上,日本海側の地震(東北地方と重複)。

東海地震・M8程度(87%,参考値)
東南海地震・M8.1前後(70%程度)
以上,太平洋側の地震

近畿地方

●南海地震・M8.4前後(60%程度)
東南海地震・M8.1前後(70%程度)
(南海・東南海連動地震の場合,M8.5前後)
東海地震・M8程度(87%,参考値)
以上,太平洋側の地震

<中国・四国地方

●南海地震・M8.4前後(60%程度)
日向灘プレート間地震・M7.6前後(10%程度)
日向灘プレート間地震・M7.1前後(70〜80%)
以上,太平洋側の地震

●安芸灘〜伊予灘〜豊後水道の地震・M6.7〜7.4(40%程度)
以上,瀬戸内西方の地震

<九州地方>

●安芸灘〜伊予灘〜豊後水道の地震・M6.7〜7.4(40%程度)
以上,瀬戸内西方の地震

●南海地震・M8.4前後(60%程度)
日向灘プレート間地震・M7.6前後(10%程度)
日向灘プレート間地震・M7.1前後(70〜80%)
以上,太平洋側の地震

<沖縄地方>

与那国島周辺の地震・M7.8程度(30%程度)
●南西諸島周辺浅発地震
●南西諸島周辺のやや深発地震


以上が,日本で起こる主な海溝型の地震である。
日本では,これに加え,内陸の活断層で発生する地震も多くある。
後に記述する。

このデータは2011年1月1日現在のもので,御承知の通り,宮城県沖地震(99%)は3月11日に発生したと考えられる。
また,確実とは言えないが,茨城県地震(90%以上)も3月11日に発生したと考えられる。
3月12日に秋田県沖で発生した地震は,規模がやや小さいため,上記の秋田県地震とは異なると考えられる。

さらに,今回の東北地方太平洋側地震で分かるように,
実際,想定していた震源領域を超えて地震が発生している。
つまり,上記の想定マグニチュード以上の地震が起きる可能性もある。

そして,仮に発生確率が低いからと言って安心できると言うわけではない。
しかし,海溝型の地震はある程度,一定の周期をもって活動しているため,40%以上でなければ,すぐに起きる可能性は低いと思う。


以上,心痛む内容ではあるが,不安になるのではなく日本がいかに地震が多い地域であるかをしっかり理解してもらい,今後来るであろう地震と向き合い,立ち向かうために,防災意識を適切に高めて頂くことが必要だと思う。